以前、タクシードライバーが無罪を訴えるために口を糸で縫う事件がありましたが、今度はキルギスで1300人以上が唇を縫いつけたようです。
中央アジアに位置するキルギス共和国の刑務所で、1300人以上の受刑者らが劣悪な生活環境に対する抗議として、自らの唇をホチキスで閉じたりワイヤーで縫い付けるという事件が発生しました。また、キルギス全土の刑務所で服役する受刑者1万5000人のうち6600人あまりが大規模なハンガーストライキに加わっており、受刑者らは家族にもハンストへの参加を促しているといいます。
このハンガーストライキ事件の発端は、ビシケクの刑務所内で起きた犯罪組織幹部同士の争いが殺人に発展したことから始まったようです。相手方の幹部を殺害した受刑者は、州刑務所当局によってより劣悪な環境へ移送され、組織への家宅捜索で携帯電話、麻薬、現金などが押収されました。当局によると、これに起こった組織側が、受刑者たちを扇動してハンストをさせているといいます。
しかし、人権団体の関係者によれば、ハンストの原因は劣悪で非人道的な刑務所環境にあるとしています。ある人権活動家によると、キルギスの刑務所では食事が不十分なうえ、医薬品、シーツ、石鹸なども支給されておらず、病気になっても治療できる医師がほとんどいない状態だといいます。人権団体関係者はBBCに対し「囚人らは、州刑務所当局や看守の暴行を止めるよう求めています」「囚人らは、ハンガーストライキを止めることで、再び殴られることを懸念しています」と語りました。
囚人らは、飲み物を飲んだり最低限話したりできるように唇の端を縫い合わせているようですが、ハンスト中の受刑者の多くは健康状態が悪化しており、病院に搬送されたものも出てきているようです。