今年の春に4年制大学を卒業した学生約56万人のうち、6%に当たる約3万3000人が進学も就職の準備もしていない「ニート」だったことが27日、文部科学省の学校基本調査の速報で分かりました。就職率は63.9%で前年比2.3ポイント改善したものの、それを上回る3.9%の約2万2000人が非正規雇用でした。
文科省は「リーマン・ショックで大きく落ち込んだ就職率は持ち直しつつあるが、本人が望まない雇用形態で就職せざるを得ない状況は改善すべき課題だ」としています。
今回の調査では、大卒者約55万9000人を対象に5月1日現在の状況を尋ねました。その結果、就職も大学院などへの進学もしていない人は15.5%の8万6638人。今回、初めて「進学も就職の準備もしていない」人数を調べたところ、このうち約4割の3万3584人いたことが明らかとなりました。また「就職準備中」が4万9441人、「進学準備中」は3613人だったといいます。
ニートとは、教育、労働、職業訓練のいずれにも参加していない状態を指した造語であり、一般的には無業者のことを言いますが、「進学も就職の準備もしていない」がニートと言えるのかは微妙といえます。また仕事自体が多様化している現代では、大学までの教育が仕事に対応しておらず、そもそも「失業者」「無業者」の定義も非常にあいまいなものとなっています。
これら若年層の雇用問題、ひいては経済問題を解決するためには、「景気対策」や「雇用対策」といった20世紀型の単純な政策ではなく、教育や産業構造を含めた社会全体の変革が必要といえそうです。