現代では、一般の人には想像もできなかった夢のような製品が次々と実用化され利用されています。しかし、それらの中のいくつかは、SF(サイエンス・フィクション)に触発されてデザインされているものも存在します。今回は、夢物語から始まった10のハイテクをご紹介します。
1.携帯電話
モバイル通信デバイスの最初のコンセプトは、アメリカのSFテレビドラマシリーズ『スタートレック』に登場します。
携帯電話開発の第一人者として知られ、アメリカ合衆国に本社を置くモバイルブロードバンド技術開発と電波干渉防止技術開発などを主な業務とする会社アレイコムのCEOマーティン・クーパーは、その着想を『スタートレック』に登場するタイテムから得たと述べています。
2.潜水艦
1870年に発表されたジュール・ヴェルヌの『海底二万里』には、潜水艦ノーチラス号が登場します。『海底二万里』発表前にも潜水艦は存在しましたが、発表後の1878年、牧師ジョージ・ギャレットによって出願された特許では、その形状は従来の潜水艦と比べて大きく変化しノーチラス号そっくりのものへと変わりました。
3.静止衛星
概念は1928年にヘルマン・ポトチュニクによって考案され、SF作家のアーサー・C・クラークによってWireless Worldに1945年発表された事により大衆化された。当初のクラークの構想では巨大な有人宇宙ステーションが3機三角形状に配置されるというものでした。
そのため、静止衛星軌道はクラーク軌道またはクラークベルトと呼ばれることもあります。
4.ロケット
最初の液体燃料ロケットを構築したアメリカの科学者ロバート・ゴダードは、H・G・ウェルズの『宇宙戦争』を読んでいたとされています。
5.ロボットアーム
ロバート・A・ハインラインが1942年に書いた『ウォルドウ』には、ロボットアームが登場します。さらにハインラインの作中には未来を予言していたとされる発明、自動電灯スイッチ、ハンドドライヤー、製図ソフトウェア、自動掃除ロボット、携帯電話、動く歩道、太陽電池パネル、遠隔マニピュレータ、スクリーンセーバー、バートのサンフランシスコ-オークランド間のトンネル、ウォーターベッド、自動車のスマートエントリー、オンライン新聞などが登場します
6.テイザー銃(スタンガン)
エドワード・ストラッテメイヤーが書いた『Don’t tase me, bro』というシリーズに登場する少年キャラクター、トム・スィフトは様々なものを発明しますが、その中にあった電動ライフルに触発されて発明されました。
そのためテイザー銃(The Taser)は、トム・スィフト(トーマス·A.スウィフト)の頭文字であるT.A.SからTaserと名付けられました。
7.仮想現実
「セカンドライフ(Second Life)」は運営するリンデン・ラボ社のフィリップ・ローズデールが1999年に設立しましたが、この3次元空間にアバターを配置する仮想世界のアイデアは、アメリカのSF作家ニール・スティーヴンスンが1992年に発表した『スノウ・クラッシュ』からインスピレーションを受けたものです。
8.フラット・スクリーン・コンピュータ
iPadやキンドルのような電子書籍デバイスは、『スター・トレック』に登場するPADD(パーソナル・アクセス・ディスプレイ・デバイス)と非常に酷似しています。また、スティーブ・ジョブズがiPadを発表した際にも、この点について言及しています。
9.ワールド・ワイド・ウェブ
ワールド・ワイド・ウェブの開発者ティム・バーナーズ=リーは、アーサー・C・クラークの作品に登場するネットワーク化されたコンピュータの世界についての魅力を語っています。
10.コンピュータウイルス
空想上の概念としては、1972年にデイヴィッド・ジェロルドによるSF小説 H・A・R・L・I・E において、「ウイルス」プログラムと、それに対抗する「ワクチン」プログラムが登場しています。情報科学の世界ではじめて「ウイルス」の語が使われたのは、1984年に当時ニューヘブン大学の学生であった Fred Cohen が発表した研究論文中といわれています。
実装上のウイルスの起源は1960年代に遡りますが、現在ある形での最初のウイルスは、1982年に当時ピッツバーグの高校生であった Richard Skrenta によって作製されたElk Clonerで、Apple IIにのみ感染するものでした。