薄毛や白髪でお悩みの方には、これ以上ない朗報です。
いろいろな細胞の元になる幹細胞を組み合わせて髪の毛が生えてくる皮膚の中の器官を再現することに、東京理科大学のグループがマウスを使った実験で成功しました。抜け毛の根本的な治療法につながる可能性があると期待されています。
東京理科大学総合研究機構などのグループは、なくなった髪の毛を再生させるため、いろいろな細胞の元になる幹細胞のうち、毛のまわりにある「上皮性幹細胞」と「毛乳頭細胞」に注目しました。そして、この2種類の幹細胞をマウスのひげの周りから取り出して培養し、背中に移植した結果、ひげや髪の毛が生えてくる皮膚の中の「毛包」と呼ばれる器官ができたということです。
毛包からは実際にひげのような毛が伸びて周期的に生え替わり、さらに色素を作る細胞を一緒に移植すると毛の色が黒くなったということです。
移植した幹細胞の量に比例して毛包の数を確実に増やすことができたことからグループでは、抜け毛の根本的な治療法につながる可能性があるとしています。
研究を行った辻孝教授は「人でも後頭部などに髪の毛が残っていれば、自分自身の細胞でもう一度、毛包を組み立て毛髪を作り出すことが可能になる。将来は治療に使えるようにしたい」と話しています。
またこの技術を、人間での臨床実験に3年以内に取り組みたいとしており、10年以内にこの治療法が広く利用されている可能性があるといいます。しかし、その治療に掛かる費用は数十万円程度の高額なものになるとされています。
カツラなどで薄毛をカバーしている人や定期的に白髪染めをしている人にとって、数十万円で問題が解決するなら安いものといえそうですね。10年以内とされる実用化までに、髪の毛を少しでも残しておければ治療できるかもしれません。