これまで人海戦術によって行っていたアマゾンの倉庫における作業が、全てロボットに置き換わるかもしれません。
インターネット通販大手のアマゾンは、7億7500万ドル(約650億円)を費やして、倉庫内における作業を自動で行うロボットを導入することが分かりました。このロボットは、自律型のネットワークによって、自動的に倉庫内で活動し製品を運搬します。
このロボットは、アマゾン以外にもZappos社、GAP社、Staples社が運営する倉庫でも利用されています。
オレンジ色のこのロボットは、お掃除ロボット「ルンバ」の巨大版のような形状をしています。ロボットに指示されるのは、製品が置いてある場所とそれらを運ぶ場所だけで、その先の作業はロボットたちが自ら把握して実行します。 ロボットは、必要な製品が収納されている棚を探し出し、その下に滑り込んでその棚を運び出し、その場所から人間の作業員がいるところまでのルートを見つけます。また、再充電に必要な1時間あたり5分の時間を、適切なタイミングで見つけ出すこともやり遂げるといいます。
これらのロボットを制作しているのは、マサチューセッツ工科大学(MIT)の卒業生たちが設立した「キバ・システムス(Kiva Systems)」社というベンチャー企業。人気の高い製品は部屋の周辺に集まり、人気のない製品(アシッド・ウォッシュ加工のベルボトムなど)は部屋の奥に置かれたままとなります。こういったシステムによる自己調節の機能が大きな効率性をもたらすといいます。
同社によると、この方式は従来の倉庫における労働と比べて2から4倍の効率を可能にするといい、さらにロボットが動き回る広大な領域については照明や空調が不要で、それがコスト削減にもつながるといいます。加えて、通常の倉庫と比べて50%ものコスト削減が可能になる主張します。
現在、合計すると、十数の巨大倉庫で1000台以上のロボットが配備されており、その数は急速に伸びています。年内に、個々の倉庫において1000台のロボットからなるシステムを採用するケースも複数出てくると同社は予測している。
なお、多くの倉庫において、作業員たちはロボットに名前を付け、名札をかけてやっているといいます。会社によっては、ロボットから作業員にバースデーカードを送るところもあるといいます。
同社のロボットは、ベビー用品の通信販売サイトを運営するDiapers社でも採用されています。特にDiapers社のロボットは他のアルゴリズムとも相まって最適化され、他社のロボットシステムに比べて作業効率が群を抜いていました。そこでアマゾンの最高経営責任者(CEO)ジェフ・ベゾス氏は、2010年にDiapers社ごと買収しました。
ジェフ・ベゾス氏がここまで本気になって取り組む倉庫のロボット化、このまま進むと効率化による製品の価格低下が起こる反面、作業員の雇用が失われるかもしれませんね。