水から水素を作り出す場合には電気分解が一般的ですが、この方法では電気を使うため、すわなち化石燃料を消費するため、環境的にもコスト的にも大きな問題がありました。しかし、この方法に変わる新しいシステムが開発されたようです。
カリフォルニア大学サンディエゴ校は、太陽光のエネルギーだけを使って水から水素を効率的に生み出すことのできる画期的なシステムの開発に成功しました。また、このシステムの材料は大量にあるため、非常に安価で大量生産できるといいます。
今回開発されたシステムは、「光触媒」技術を用いて水から水素を取り出すといいます。これまでにも「光触媒」を使った水素の製造方法はありましたが、平面的なものに光を当てるため非常に効率が悪いとされていました。
(左)既存の光触媒(右)新システム:(左)では大半の光が跳ね返されてロスが多いですが、(右)では跳ね返った光がさらに他の部分に当たりロスがなくなります
しかし今回開発されたシステムでは、シリコンや酸化亜鉛などからなる光触媒加工を施した材料を、ナノレベルで突起状にして表面積を広げ、さらに光を効率よく利用できるように立体構造「ナノツリー構造」にしました。
このシステムを水につけて光を当てることで水素が発生するといい、新システムはこれまでの平面状のものより40万倍以上の表面積があるといいます。
研究チームは、さらなる目標として「人工光合成」の開発を目指しており、将来的には空気中の二酸化炭素を取り込み炭化水素燃料を作りたいといいます。
光だけで水素が作れれば、水と太陽だけで無尽蔵にクリーンなエネルギーが生み出せるため、エネルギー問題と二酸化炭素を始めとした環境問題を一度に解決できますね。