核戦争で人類が滅亡するまでの時間を表現した「終末時計」が10日、アメリカのオバマ政権が進める「核なき世界」構想に大きな進展が見られないことなどを理由に1分進められ、残り5分となりました。時計を管理する米科学誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」が発表した今回のアルマゲドンまでの残り時間は、2年前に午後11時54分だったものが戻されたことになります。
終末時計は2010年1月に、世界的な核軍縮機運の高まりや地球温暖化対策をめぐる国際協調の動きが評価されたことで1分戻され、人類滅亡を表す0時まで残り6分の午後11時54分に設定されていました。
同誌は声明で「2年前には世界の指導者が地球規模の真の脅威に対処するかに見えたが、その傾向は続いていないか覆されている」と失望感を表明。「核なき世界への道筋が明確でない」と批判しました。また、中東や北東アジア、南アジアの地域紛争での核兵器使用の可能性に警鐘を鳴らしました。
1947年に作られた終末時計は、同誌の理事会がノーベル賞受賞者らと協議の上、分針を動かすかどうかを決めています。1950年代には午後11時58分まで針を進め過去最悪の状況でしたが、60年代、70年代は安定化。その後、80年代に入ると冷戦の緊張と各国の核開発によってまたもや危険水準に入りましたが、ソ連の崩壊とともに午後11時43分まで針を戻していました。
グラフを見る限り、人類にとって常に厳しい状況が続いていると言わざるを得ない状態です。この針を戻すためには、核軍縮に向けた各国の努力や原子力・石油エネルギーに代わる新エネルギーの開発が急務と言えそうです。