漫画『プラネテス』は、主人公ハチマキが宇宙空間に漂うゴミ「スペースデブリ」を回収するというSF作品ですが、現実にはハチマキの仕事は宇宙版ルンバが行うことになりそうです。
スイス連邦ローザンヌ工科大学(EPFL)宇宙センターは15日、地球の衛星軌道上を周回する人工衛星の破片といった「宇宙ゴミ」を掃除するプロジェクトを発表しました。
現在、宇宙では700以上の人工衛星が稼動し、天候、テレビ、電話などの情報を絶えず地球に送信していますが、その多くは地球周回軌道を飛行しています。これらの中には古いものも存在しており、他の人工衛星と激突する可能性があります。2009年には、稼動を停止したロシアの人工衛星がアメリカの人工衛星イリジウムに衝突し5500万ドル(約43億円)の損害と、人工衛星の破片といった2000以上の新たな宇宙ゴミを生み出しました。
これらの宇宙ゴミ問題に対処すべく、今回の宇宙ごみを掃除するプロジェクトが発表されました。今後も大量の宇宙ゴミがロケットなどに衝突するリスクが深刻化することを踏まえ、2015年をめどに、これを回収する小型衛星ロボットの1号機の打ち上げを目指します。
計画では、現在宇宙に1万6000個以上存在する直径10cm以上の宇宙ゴミを打ち上げた衛星のアームでキャッチして、そのまま大気圏に突入することで焼却処分するということです。
このプロジェクトの予算は1000万スイスフラン(約8億5000万円)を見込んでおり、企業への資金提供を呼びかけています。また、このまま宇宙ゴミが増加すれば、宇宙での事故に関する企業の保険料が値上がりするため出資する企業も出てくる可能性があります。
漫画『プラネテス』の中では、宇宙飛行士たちが命がけでゴミ掃除をしていましたが、現実世界では全てロボットで行うこととなりそうです。技術的には、まだ克服すべき点が残っているというものの、SF世界の話がまた一歩現実に近づいたことを感じさせる宇宙ゴミに関するニュースでした。