タイヤを通じて道路から車に電気が流れ、電気自動車を動かす。こんな仕組みを、豊橋技術科学大学が考案した。実用化できれば、大容量のバッテリーを車に積まずに済むなど、今の電気自動車の欠点を補えるという。同大大学院の大平孝教授(波動工学)が6月27日、記者会見で発表しました。
タイヤには補強のために、表面の近くに電気を通すことができる金属製のスチールベルトが巻かれています。そこで、大平教授は道路の路面の下に電気を流す金属のシートを敷き、タイヤを電車のパンタグラフ、路面を架線に見立てるアイデアを思いつきました。タイヤのスチールベルトやアルミ製のホイールを経由して、道路から車に電気を供給するといいます。
ただ、タイヤのゴムは絶縁体のため、一般に使われている50ヘルツや60ヘルツの電流は流れません。そこで、10万~100万倍周波数を上げたメガヘルツ級の電流にして、金属がじかに接していなくても電気が伝わるようにしました。
メガヘルツはFMラジオの電波などに使われている周波数帯に近いといい、大平教授によると、電流は周波数が高くなると、電波のような性質を帯び、離れた場所でも電気が流れるようになるといいます。
現在、実用化されている電気自動車は、容量の大きな電池を積まなくてはならないうえ、1回の充電当たりの航続距離もガソリン車に比べて短いのが現実。また、充電時間もかかります。
大平教授は「電車のように外部から電力を供給できるようになれば、小さなバッテリーで済み、現在の電気自動車の欠点を補える。車の重量を半分ぐらいにできる」と話しています。今後は、5年以内をめどに走行実験を目指します。
もし実現されれば、非常に燃費がよく環境に優しい電気自動車が誕生することとなりそうです。今後の研究が期待されますね。