イギリス・ノッティンガム大学のサイモン・リー氏の研究チームは、人間にとって致死性のある細菌を死滅させる天然の抗生物質をゴキブリの脳が作り出すことを発見しました。この研究の予備報告は、ノッティンガム大学で2010年9月6~9日に開催された英国総合微生物学会で発表されました。
今回の実験では、ゴキブリを解剖して組織と脳を分析、9種類の抗菌性の分子を調べました。その結果、ゴキブリの脳内にある抗生物質がメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)や大腸菌を殺傷することが分かりました。また同様に3種のバッタも細菌を殺す分子を持っていたといいます。
この理由については、ゴキブリなどの昆虫の生息環境は非衛生的で、様々な細菌から身を守るために生命活動を司る脳が抗生物質を分泌すると考えられています。
実際に虫の脳から医薬品が開発されることになるかはまだ先の話だといいますが、この抗生物質をヒトの細胞に付加する実験では有害性は確認されなかったといいます。
人間から嫌われているゴキブリですが、もしかすると未知の能力を秘めているのかもしれませんね。将来、ゴキブリから生み出された治療薬に助けられる日が来るのかもしれません。