近年では、海賊行為が大きな社会問題となっていますが、とうとう海賊を撃退できる新兵器が開発されたようです。
アンチ・パイレイシー・カーテンは、日本郵船グループのMTIと消防用ホースメーカーの横井製作所が共同で開発した新しいコンセプトの海賊対策装置です。この装置は、10m間隔に設置された大量放水ノズルによる放水で海賊にボート転覆の脅威を与え、さらに新開発の暴れホースによって、海賊を遠方から威嚇します。
このアンチ・パイレイシー・カーテンは、船に近づいてくる海賊のボートに対して1分間に1cm以上の水をかけることよって、転覆の脅威を与えるというものです。また、特許出願済の新しいアイデア「暴れホース」によって海賊を撃退します。暴れホースは、ノズルの先から水を出すことで、非常に少ない水量で不規則に動き回ります。先端に付けた重りによって、上がりすぎずに、船の下の方で暴れるように作られています。
特に狙われやすい小型船の消火ポンプでも効果を発揮できるよう開発された大量放水ノズルは、毎時20トンの水量と2kgの水圧でありながら、梯子を掛けられないほどの大量降水を実現します。また、暴れホースは、不規則な動きと70kg以上の衝撃力で、海賊の乗込み意欲を削ぎ、船に上がって来るのを阻止します。
一般的な海賊対策は、放水銃を使って高圧の水で海賊を吹き飛ばすというものですが、アンチ・パイレイシー・カーテンは滝のように水を降らせることで、接近者がいやがるような物を作り、さらに目立たせるという効果があります。
暴れホースは、非着火性・帯電防止性の認証取得済みです。また、船体損傷防止カバーにより、船体のペイント損傷も無く、2週間の連続運転を確認しています。
装置はほぼ完成しており、今後は、製品化に向けた改良を行いながら、実際の航海で試験していく予定です。
ふざけたようなシステムですが、お風呂場や庭先で暴れるホースに苦労した経験があれば、なかなか厄介な代物だということは分かりますね。また稼動させるために難しい技術や多くの人手が必要ないことも、現実的な海賊対策システムだといえそうです。