前輪の自転車を乗りこなす人が存在するなど、信じられないようなスゴ技を持つ人が多い中国に、たった1本の竹の上に乗って川を下るという信じられない競技が存在しました。
中国南西部の貴州省では、竹の上に乗り竹などで作られたパドルでバランスを取りながら川を下るという奇妙な競技「バンブードリフトレーシング」が行われています。
長い歴史の中で「バンブードリフトレーシング」は、少しずつルールが変更されており、実際の竹を使う場合もありますが、現在では真剣勝負の競技には緑色のグラスファイバー製の竹が使われています。このグラスファイバー製の竹は、竹以上の浮力と耐久系を持っていますが、それでもこの細い棒に乗ってバランスをとるのは至難の業となっています。
おそらく世界最薄と思われるボート(と言っても竹ですが)に乗るコツは、腰使いとバランスなんだそうです。熟練者ともなれば、竹の上で開脚を行ったりフラフープを回すことまで出来るようになります。
そもそも「バンブードリフトレーシング」は、貴州省のスポーツというわけではなく、100年前まで使われてきた単なる交通手段でした。
山岳部などに暮らす人々が、深い谷間などにある川を渡る際に水に浸からなければなりませんでした。そこで考え出されたのがこの竹に乗るという方法でした。これなら、竹を一本切り倒すだけで濡れずに川を渡ることができ、さらに渡りきった対岸の市場で売れば小銭も儲けられるという一石二鳥の方法でした。
現在では、「バンブードリフトレーシング」は伝統的な少数民族スポーツの1つとして、中国国内で毎年開催されるに至っています。