ニューヨークタイムズのコラムニスト、デイヴィッド・ブルックスが彼の最新の著書の中から人間の本質へのこれまでにない洞察を、認知科学の面から紹介します。それは経済、政治そして私たち一人一人の自己認識に至るまで非常に応用範囲の広いものです。ユーモアをふんだんにまじえたトークで、彼は人間を理解する上で意識と無意識を切り離して考えることはできないと説明します。
デイヴィッド・ブルックスによると、認知科学の面から推察した新しい人間像を理解するためには3つのキーポイントが存在します。
1つ目は、「人間のほとんどの行動は無意識が導いている」ということ。2つ目は、「思考の中心に感情がある」ということ。3つ目は、「人間は元来、自己完結した存在ではなく、社会的動物であり合理的ではない」ということです。
これらのことを踏まえて、いくつかの”発見”を知ることでより深く人間を理解することができるといいます。
それは、相手の気持ちを慮る「読心術」、思い込みや欠点を認識し平静を保つ「バランス感覚」、物理的に状況を認識する第六感的な能力「メデス/ストリート・スマート」、集団行動をするための「協働」、いくつかの概念を統合させられる「融合」、意欲や原動力である「一体感」の6つの能力だといいます。これらの能力は、数字などで測ることができないものですが、人間の重要な能力です。
現在の認識では、IQや偏差値などによって人間を判断し、無意識を軽視する傾向にあります。もしかすると、今の科学では十分理解されていないことが人間の能力の重要な要素なのかもしれません。