米航空宇宙局(NASA)が開発中の月着陸船「モーフィアス」が9日、フロリダ州のケネディ宇宙センターで実験に失敗し、爆発・炎上しました。NASAによると、負傷者は出ていないといいます。
NASA提供の映像によると、重さ794kgの「モーフィアス」は、轟音とともに炎を吹き出して地面から浮上した数秒後に傾き、そのまま落下。その後炎上し、燃料タンクが爆発を起こしました。
NASAは今回の失敗は「想定内のこと」とした上で、現在、原因を調査しているといいます。
プロジェクト責任者のジョン・オランセン氏は記者団に対し「同機は失われた」「しかしこれを教訓として計画を前進させるため、実験経過についてのデータと情報を収集している」と語りました。ヒューストンのジョンソンン宇宙センターではもう1台の建設が進んでおり、2ヶ月~3ヶ月以内に完成する見通しだといいます。
機体の残骸からはメモリ装置が回収され、原因究明のためデータ解析を進めています。オランセン氏は初期段階の調査結果として、ナビゲーションコントロールシステムに原因があったようだとの見方を示しました。
NASAは実験の失敗について「複雑な宇宙飛行機器の開発過程には付き物」だと述べ、これを教訓として今後の設計に当たると強調しています。
モーフィアスはNASAが目指す月探査計画の一環として、物資最大約500kgを運搬する目的で開発されました。エンジンの燃料は、水素やヒドラジンに比べて扱いやすいとの理由から、一部にメタンが使われていました。
NASAは約700万ドル(約5億5000万円)を投じ、過去2年半にわたりモーフィアスの開発を行ってきました。