突然ですが、みなさんは『暗い日曜日』という曲をご存知でしょうか?1933年にハンガリーで発表されたヤーヴォル・ラースロー作詞、シェレッシュ・レジェー作曲による歌で、一般的には「自殺ソング」として知られており、聞いた人間が死ぬという都市伝説がある曲です。今回はそんな恐るべき曲をご紹介します。
曲調、歌詞ともに陰鬱さを醸し出した『暗い日曜日』は「自殺ソング」として、またヨーロッパやアメリカでは「自殺の聖歌」として知られており、歌詞の内容は暗い日曜日に女性が亡くなった恋人を想い嘆くというもので、最後は自殺を決意するという一節で終わります。
ハンガリーや世界中で『暗い日曜日』を聴いて数百人(内、157名はハンガリー人とされている)が自殺したと言われていますが、この本作と自殺との因果関係は明確には証明されておらず、本作が原因とされる自殺の記録も明確にはありません。そのことからも「都市伝説ではないか」とも言われています。
しかしながら、当時の自殺者の中に本作の関係を匂わせる形で自殺をした者が少なからずいると言われており、政府が放送禁止に指定したとも言われています。また、朝日新聞の記事によると、ハンガリーで1983年に出版された本作と自殺との因果関係と調査した書籍(書名不詳)では、本作に関連した自殺は5人のみであり、ハンガリー人が数百人が自殺したというのは誇張であると指摘しています。
また、当時はナチス・ドイツによる軍事侵攻の危機が迫るなど自殺者が出てもおかしくない世相であったため、直接の原因ではないにせよ、自殺を扱った本作が「引き金」になった可能性は示唆されています。ただし、当時はまだポピュラー音楽がそれほど普及していなかったため、自殺しようとする者が残すメッセージとして手に取るものがこれしかなかっただけではないかと言う説もあります。イギリスでも反響は大きく、BBCでは放送禁止の曲に指定されました。
本作のヒット後に作曲者の恋人が自殺、作曲者本人も自殺していると言われています。
これほど多くの噂がある『暗い日曜日』ですが、現在でも多くのアーティストによって唄われ、特に1936年のフランスで発表されたフランス語によるダミアの録音でシャンソンとして世界的に知られるようになりました。
また日本では、淡谷のり子を筆頭に榎本健一、東海林太郎、越路吹雪、美輪明宏、戸川昌子、岸洋子、金子由香利、夏木マリなどシャンソンを専門分野とする歌手がカヴァーに挑んでいます。
曲自体が陰鬱で恐ろしげな感じもしますが、前評判を知らなければいい曲と判断する人も多そうですね。とりあえず、周りの人に一度『暗い日曜日』を聞かせてタネ明かしをしてみれば面白いかもしれません。