中米ホンジュラスの刑務所で14日深夜に大規模な火災があり、受刑者357人が死亡し、多数の行方不明者が出る事態が発生しました。また、火災から逃げようとする囚人たちを閉じ込めた警察らに対して犠牲者の遺族が石を投げるなどして暴徒化。これに対して、兵士が威嚇射撃をするなどして鎮圧しました。
同国では、過去数年で何度も刑務所の火災が発生していますが、犠牲者数では今回が最悪級。受刑者が置かれた劣悪な環境も浮き彫りになりました。
火災は現地時間の14日午後11時ごろ、首都テグシガルパから60km北西にあるコマヤグア刑務所で発生、建物全体の半分以上に当たる5棟を焼失しました。同刑務所には受刑者851人が収監されており、出火当時は就寝中でしたが、生存者の証言によると、仲間の叫び声で目を覚まし、あらゆる手段で逃げようとしたといいます。現在、死者・行方不明者を合わせると402人にのぼっています。
コマヤグア消防署の広報ジョスエ・ガルシア氏によると、100人以上の囚人が独房内で焼死もしくは窒息死したといい、独房を開けようにも鍵を持っている看守が見つからなかったといいます。
出火原因は不明ですが、当局は電気系統のショートにより発火した可能性があるとみて、施設内の配線を点検しています。さらに、受刑者がマットに放火した可能性もあるといいます。
ロボ大統領は国民に向けた演説で、コマヤグア刑務所の責任者らを停職処分とし、国内の全刑務所で定員を大幅に超す受刑者が収監されている現状の改善を図ると表明しました。
刑務所前には受刑者の安否を気遣う親族などが詰めかけ、当局が読み上げる生存者の名前に耳を傾けました。遺体を回収しようと刑務所内に押し入ろうとする人たちと治安部隊が衝突する場面もありました。
犠牲者の中には身元確認のためにDNA鑑定が必要な遺体もあるといい、当局はチリから専門家の派遣を受けて身元確認作業を進める方針。
ホンジュラスでは2003年にも刑務所の火災で受刑者61人が死亡、04年には107人が死亡しています。米国務省は昨年4月、同国の刑務所24カ所の実態について、過度の定員オーバー、適切な食事が与えられないことによる受刑者の栄養不良、衛生上の問題などがあると指摘していました。