デコトラとは、デコレーショントラックの略称であり、主に水産業および水産物輸送に携るオート三輪が、塩害や融雪剤の悪影響で車体が錆び、寿命が短かったことから、傷んだ荷箱の補修に表面を小円状のヘアライン加工(由来は航空機用外板の「エンジンターン加工」 Engine turnings )したステンレス鋼板をリベット留めしたのが始まりとされている、日本で生み出されたものです。
しかし、奇妙なバイクの乗り方をする「パキスタンのスケート王」がいるパキスタンでは、異国情緒溢れるトラックが存在します。もしかすると、世界各国のトラック野郎の考えることは同じなのかもしれません。
これらのパキスタン製デコトラは、ほぼ全ての面が美しく塗装されており、その柄やデザインは所有者やその絵を描くアーティストの裁量に委ねられています。
日本のデコトラとの決定的な違いは、大きな一枚絵ではなく、繊細で緻密な図案や柄により構成されていることです。また、バンパーなどからぶら下げられたカラフルな装飾用チェーンや、立体的な像などを備え付ける点も特異だと言えそうです。
これらの塗装の始まりは、長距離を移動したトラックドライバーが家のことを忘れないために絵を描いたことが始まりだといわれています。
現在は、トラックだけでなく普通の自動車やタクシーに塗装を施すことも人気になっており、すでにアートとして認知され始めています。そのため、これらのデコトラの絵を模したマグカップ、ガラス、ランタン、やかんなどを製作されて関連商品と販売するところも現れているようです。