ソマリアと言えば、ここ20年ほどはソマリランド建国による内戦と治安の悪さなどが報道され、さらにここ数年に関して言えば海賊の出現が国際的にも問題となっています。海賊行為を行っている人々の多くは元々漁師だった人々であり、多くの場合、経済的な問題から海賊行為を行うのがしばしばです。
今回は、海賊に隠れてなかなかクローズアップされない漁師達の写真をご紹介します。
彼らが漁をするのは、家族を養うためです。治安や経済の問題で産業が育たず、バナナを中心とする農業、ラクダ(飼育数世界1位)・羊・ヤギなどの畜産業などが主だった産業とされています。
畜産業の経済に占める比率はGDPの40%、輸出収入の65%に達する状態です。また、農産品の加工を軸とした小規模な軽工業はGDPの10%程度です。皮肉なことに、最近では1隻あたり100万ドルといわれる海賊業も主要な外貨獲得源になっているという現状さえあります。
漁師の捕まえる魚はサメなどが多く、冷凍技術がないため鮮度を保つことすら難しそうです。また、町は廃墟と化している場所もあり、働いている漁師たちの中には子供と見受けられる者もいます。
漁師達の写真を通して、第一次産業主体の経済から脱却し、経済発展をしていくのが非常に難しいソマリアの現実が浮き彫りとなっています。この状態を変えないと、先進国がどれだけ暴力で海賊を排除したところで、海賊行為自体がなくなることはないでしょう。