伝統的で保守的な生活を信条にするアーミッシュがケンタッキー州の警察に逮捕されたことが話題となっています。
ケンタッキー州に住む9人のアーミッシュの男性は、安全のために設置しなければならないオレンジ色の三角形の安全標識を馬車に備え付けることを拒否したため相次いで逮捕されました。これまでに、彼らと同じような理由で数十人が逮捕されています。
馬車の後ろに付いているのがオレンジ色の三角形の安全標識
アーミッシュとは、アメリカ合衆国のペンシルベニア州・中西部などやカナダ・オンタリオ州などに居住するドイツ系移民（ペンシルベニア・ダッチも含まれる）の宗教集団です。彼らは、移民当時の生活様式のため自動車や電気などは使わず、農耕や牧畜によって自給自足生活をしていることで知られており、原郷はスイス、アルザス、シュワーベンなどです。また、人口は20万人以上いるとされています。
アーミッシュの規律では、色鮮やかなものが禁止されています。そのためアーミッシュたちは、このオレンジ色のステッカーは規律違反だとして備える付けることを拒否しました。
逮捕された9人のアーミッシュは3年以上に遡り、州法のステッカー表示義務を遵守しなかったため逮捕されました。
裁判でアーミッシュからは、自分達の規律に違反している法律に従って罰金を支払えば規律を違反したことになるという主張が出ました。しかし、裁判では被告に3日間～10日間の服役が言い渡されました。この服役の期間は裁判費用と科される148ドル(約11300円)～600ドル(約46000円)の罰金の額によって決まります。
だがここでも問題がありました。刑務所に服役する際に着るオレンジの囚人服は彼らの規律に反するため、急遽暗い色の囚人服を特別注文しなければなりませんでした。
現在、ケンタッキー州付近に住む全てのアーミッシュグループは州法で定められている安全要求事項を遵守することを拒否しています。彼らからは「自分達の安全のために明るい色の服を着ることも人工的なシンボルを使う気も無い」という断固とした主張が出ています。
6月には有罪判決に納得がいかない被告が、裁判所に控訴届けを提出しましたが棄却されてました。
ここ数ヶ月で同様のケースが発生しており、裁判所に数十件の裁判が殺到しています。
この事件は宗教と法律を巡る難しい問題を孕んでいるため決着も一筋縄ではいかないようです。
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