アメリカの首都ワシントンD.C.に暮らす男性が、アメリカの大手通販サイト「アマゾン・ドットコム(Amazon.com)」でカラーテレビを注文したところ、代わりに高性能のセミオートマチック・アサルトライフルが届けらる事件が発生しました。警察は誤配達の経緯を調査しているといいます。
同市の北東部に住むセス・ホービッツさんは、SIGザウアー製ライフル「SIG716」が配達業者から届けられると、すぐに警察に通報したといいます。
ホービッツさんは地元テレビ局「Fox 5」に次のように語りました。「彼ら(警察)は最初、少し混乱した様子だった。前例のないことだったらしい。私のことについて質問をした後、『この武器をここに置いておくことは違法なので、われわれが引き取る』と伝えられた。車で輸送するのは違法なので、返品はできないそうだ」
ホービッツさんは、アマゾン・ドットコムに出店していた小売業者に薄型テレビを注文していました。銃が入った箱に記載された住所はホービッツさんのものでしたが、中に入っていた納品書によるとペンシルベニア州の銃販売店に発送する予定の銃だったといいます。
米国ではここ1ヶ月足らずのうちに銃乱射事件が2件発生しています。ワシントンD.C.首都警察の関係者は8日、本件について調査中だとAFPに語りました。
SIGザウアーは欧州の大手火器製造会社で、米国の多くの警察組織にも銃を供給しています。SIG716は、同社の米子会社のウェブサイトで「大口径のカービン銃並みの威力を必要とする人に最適なライフル」と解説されています。
銃規制強化を求める米市民団体「Brady Campaign to Prevent Gun Violence(銃暴力を防ぐブレーディ・キャンペーン)」のダン・グロス代表は声明で「これらの銃が持つ殺傷力の恐ろしさを最近起きた事件で思い知らされたばかり」だと指摘し、「銃がこれほどまでに国内に行き渡り、危険な人物の手に簡単に渡ってしまう現状を改善すべきだ」と述べました。
銃社会のアメリカでは、テレビを買うほどの手軽さで銃が変えてしまう現実がありますが、今回はあまりに強力な銃だったことが大きな話題となっているようです。また、この銃が極悪人の手に渡っていた可能性があることを考えると、「ビックリした」では済まない状況ではないといえるかもしれません。