これまでは、新聞広告を出したり、可能な限りの親類・知人にその旨を連絡し、なるべく多くの人に参列してもらえるようにされてきたお葬式ですが、最近では、家族やごく近しい親類・友人のみで小規模に行われる葬儀「密葬」が多くなってきました。アメリカでは、このお葬式をさらに簡素化させた世界初となるドライブスルー形式の葬儀場が登場し話題となっています。
この葬儀場は、アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルス近くにある「ロバート・L・アダムズ葬儀場」です。この「ドライブスルー形式」の葬儀場では、故人は棺に入れられた状態で安置されており、参列者は防弾ガラス越しに故人を偲ぶことができます。また、故人が安置されている場所までは、もちろん自動車で行くことができ、さっと来てさっと偲んで、さっと帰ることができるようになっています。
このドライブスルー葬儀場は、ただ単純に葬式を簡略化させたものではなく、その誕生の理由は非常に興味深いものがあります。
経営者のペギー・スコット・アダムス氏によると、1980年代には葬式をしている最中に、敵対しているギャング同士の銃撃戦が突然発生するなどの事態があったそうです。そこで、防弾ガラスを使ったドライブスルー形式のシステムを導入したところ、ギャングに非常に喜ばれました。
「ロバート・L・アダムズ葬儀場」は、1970年代から葬儀場を経営しており、ドライブスルーサービスを提供する数少ない葬儀場でもあります。同葬儀場のマネジャーは「歩くのが大変な高齢者や弔問客が多い場合や、忙しい弔問客などにとっては便利な代替手段を提供している」としています。しかし、葬式というだけあって否定的な意見があるのも多いのが実体のようです。
ギャングのために開始されたサービスというものの、”人間の死”や”利便性”について考えさせられる世界初の「ドライブスルー形式」の葬儀場でした。