現代では老若男女問わず多くの人が持っているスマートフォンですが、そのデザインの多くはプラスチックや金属などが使用された同じようなものばかりです。このことについて、あるイギリスの学生デザイナーが「今の携帯電話は多様性がなさすぎる」と憤り、なんと竹製のスマートフォンをデザインしてしまいました。さらに、この竹製スマートフォンは2012年後半にヨーロッパ全土で販売されこととなりました。
ミドルセックス大学で工業デザインを学ぶ大学生キーロン・スコット・ウッドハウス(Kieron-Scott Woodhouse)さんは、以前から携帯電話の多様性について不満をもっていました。そこでなんと、自分の自由な時間を使って竹製のスマートフォンを設計してしまいました。
最初は、中国市場だけで販売することを念頭に入れて作られた竹製スマートフォンですが、昨年開かれた「ロンドン・デザイン・ウィーク」とインターネット上でデザインを公開したところ高い評判とデザインの多くのファンが集まったことで話は急展開。この話題を聞きつけた技術企業家などによって製品化されることになりました。
「Adzero」は、iPhoneの約半分程度の大きさの端末であり、アンドロイド(Android)ベースのOSを搭載しています。また、被写体の影が写りこむことを避けるためのリングフラッシュに対応するカメラも搭載しており、竹製であるため非常に軽くなっています。材料が竹ということもあり、耐久性を中心にかなり気が配られており、樹齢4年の有機栽培された竹が使用されるといいます。
また竹は非常に成長が早いため、機能面だけでなく環境面にも優れているといい、その手触りや使いやすさも多くの人に支持されています。
「Adzero」は、イギリス・ロンドンのシェパード・ブッシュに拠点を置くベンチャー企業AD社から販売される予定となっています。
ミドルセックス大学で工業デザインを教え、ウッドハウスさんの教師でもあるAndy Bardill氏は「ウェブは、非常に競争力のあるデザインをオープンなものにして、より簡単にその才能を発見することを可能にしました」と語りました。
「Adzero」は、竹製という画期的なデザインを世界に広めるというだけでなく、新しいデザインやデザイナーをインターネットを通じて簡単に見つけ出せることを証明することにもなりそうです。