現在、第三世界と呼ばれるアジア、アフリカ、ラテンアメリカなどの貧しい国と地域には、視力を矯正するためのメガネが必要にも関わらず手に入れられない人が10億人も存在するといわれています。彼らがメガネを手に入れられない理由は、その値段とメガネレンズの度を合わすためのテストが出来ないからでした。
しかし、このたび開発された液体レンズ式メガネとスマートフォンアプリを使えば、超低価格でメガネを手に入れることができるといいます。12万円以下の家といい、やり方次第ですぐに社会問題を解決できるのかもしれません。
一見すると、メガネを普及させることなど単純なことのようにも思えます。視力検査用の機械で視力を測り、それに合わせたメガネを作ればいいのですから。しかし、アフリカをはじめとした貧困地域の人々にとっては、視力検査用の機械もメガネも非常に高価なものとなっています。
ところがこのシステムでは、高価で手の出なかった視力検査用の機械の代わりとして、スマートフォンアプリ「EyeNetra」によって視力テストを行います。しかも、この検査費用はたった2ドル(約150円)だといいます。
しかし、このテストは精密なものではなく、また医師の能力や病気の進行などによって目の視力は変化するために完璧なものとは言えません。また、病状に合わせて継続的に診療を行いその都度メガネレンズの度を変えることは不可能に近いといえます。しかし、この問題も新しい技術が解決できるかもしれません。
シリコンを扱っているダウ・コーニング社は、提携している発展途上国ビジョンセンターと共同で「Adspecs」と呼ばれる液体シリコンによるレンズの調節可能なメガネを開発しています。このメガネはポンプによって2枚のプラスチックレンズの間にあるシリコンオイルの量を調節することで、レンズの度を変えることができます。
スマートフォンやシリコンレンズなどこれまでになかった技術が、製品やサービスを考えられないほど低価格にすることができる時代となっています。今後、問題を解決するために必要となるのはお金ではなくアイデアなのかもしれません。