近年では、「PETMAN」や「Alphadog」など、信じられないような高性能軍事ロボットが開発されておりSF映画のようなロボット戦争は現実味を帯びる一方です。
このパワフルな講演では、P.W. シンガー(P.W. Singer)が戦場でのロボットの広範囲な使用が、どのように戦闘のリアリティーを変えるのか見せてくれます。サイエンス・フィクションからそのまま出てきた様な(しかし、もはや机上の話ではない)ロボット戦争のシナリオを紹介します。
P.W. シンガー(P.W. Singer)は、近年になり戦争に多くのロボットが利用されるようになった実例を挙げながら、さらにこのままロボットの性能が上がり続けると戦争そのもののを大きく変えてしまう可能性があるといいます。
また、現在ではアメリカを始めとした先進国の多くが軍事ロボット研究の第一線にいますが、このテクノロジーの優位性を保ち続けることはおそらく不可能だといいます。また、43カ国が軍事ロボット開発に着手しており、その中にはロシア、中国、パキスタン、イランなどの国も含まれている現状を説明します。
さらに、ロボットは個人でも扱えるためテロリズムに利用される危険性があり、遠隔操作や自動操作によって人を攻撃することの罪悪感を減らします。加えて、ユーチューブ(YouTube)などで戦場の残酷な映像(戦争ポルノ)を見ることは、戦争を考える場を作ると同時に倫理観を崩壊させる危険性があることを指摘します。
軍事ロボットは、単純に人間が行っていた戦闘を機械が肩代わりするというだけにとどまらず、人類を社会的、経済的、倫理的、道徳的に大きく揺さぶる可能性があります。シンガーはターミネーターを例に挙げて、結局のところ「使い方次第」としています。今回の講演は、軍事ロボットに限らず今後、開発されるであろう多くのテクノロジーについて、人類全体が対応に迫られているという事例の1つにすぎないのかもしれません。