オンライン書店の世界大手アマゾンが新型タブレット「キンドル・ファイア」を発表して1ヶ月以上が経ちましたが、ここにきてアメリカ最大の書店チェーンのアメリカ最大の書店チェーン「バーンズ・アンド・ノーブル(Barnes & Noble)」が新型タブレット「ヌーク(Nook)」を発表しました。
キンドルで電子書籍市場のシェア拡大と独占を狙うアマゾンでしたが、新型ヌーク(Nook)の登場でそう簡単にはいかなくなりそうです。
日本では聞きなれないバーンズ・アンド・ノーブル(Barnes & Noble)ですが、アメリカでは最大の本の専門小売店として有名な会社です。2009年10月時点で、同社はアメリカの50州とコロンビア特別区で合計777の店舗を運営しています。
バーンズ・アンド・ノーブルは大規模で高級感のある店舗を構えることで有名で、多くの店舗がスターバックス・コーヒーを提供する喫茶コーナーとベストセラー本を値引き販売するコーナーを設置しています。ほとんどの店舗で雑誌、新聞、DVD、劇画、贈答品、ゲームや音楽メディアを併売していることが特徴です。
しかし、近年では電子書籍への対応に出遅れ、2010年8月には創業者のレオナルド・リッジオが身売りを検討していると報じられていました。
そんなバーンズ・アンド・ノーブルが、ようやく重い尻を上げて発表した電子書籍リーダーの最新型が、このヌークというわけです。
キンドル・ファイアが199ドル(約1万5500円)なのに対し、新型ヌークは249ドル(約1万9500円)と少々値は張りますが、一般的なタブレットと同じような機能を持っています。
キンドル・ファイアに比べて、バッテリー容量と寿命は長く、多くのメモリを搭載しており、さらに7インチのカラータッチスクリーンに加えNetflixやHuluなどのアプリがあらかじめ搭載されています。
また、重さは1ポンド(約453グラム)以下で、16ギガバイトのメモリ容量と9時間連続でビデオを再生できるだけの容量があるバッテリーを搭載しています。
バーンズ・アンド・ノーブルの最高経営責任者(CEO)のウィリアム・リンチ氏は、ニューヨークで行われた新型ヌークの発表会で、700以上あるリアルな店舗がヌーク利用者へのセールスポイントであると述べました。
現時点ではアップル社のiPadが市場を支配的であり、調査会社ガートナー社のアナリストによると、今年発売されたタブレットの75%程度がiPadだといいます。アップルは2010年4月の発売以来、これまでにiPadを2900万台発売してきました。
しかしiPadは、基本モデルでも499ドル(約3万9000円)、高いモデルで829ドル(6万4600円)と高価格なため、他社はそこに付け入る隙があると見ているようです。
キンドル・ファイアとヌークの比較
ヌーク
8.1インチ× 5インチ× 0.48インチ
14.1オンス
11.5時間の読書用バッテリー
9時間のビデオ用バッテリー
16 GBのストレージ
249ドル
キンドル・ファイア
7.5インチ× 4.7インチ× 0.45インチ
14.6オンス
8時間の読書用バッテリー
7.5時間のビデオ用バッテリー
8 GBのストレージ
199ドル
バーンズ・アンド・ノーブルのヌークは、キンドル・ファイアを意識して作られた一方で、特に読書だけのために設計されていません。つまり、キンドル・ファイアの購入者をターゲットとしていると同時に、iPad購入者にも焦点を当てています。
またリンチCEOは、アップルストアの数に比べて全米でリアルな店舗を700以上運営していることが、販売において強力な武器になると考えているようです。
アメリカにおいて今年初めに、電子書籍リーダーの販売ではアマゾンの市場シェア67%に次いで、ヌークは22%でした。今後、この新型投入によって、アマゾンのシェアを奪うことができるのでしょうか。