約200万年前のアフリカには、現存する人類の祖先のほかに、異なる2つの種の初期の人類がいたことをアメリカなどの研究チームが発表しました。この発見は、人類の成り立ちの手がかりとなる成果として注目を集めています。
この発見は、アメリカとドイツなどの研究チームが、8日、イギリスの科学雑誌「ネイチャー」に発表したもの。
研究チームは、およそ200万年前のアフリカで、今の人類の祖先に当たる「ホモ・エレクトス」のほかに、別の種の初期の人類がいた可能性を調べようと、ケニア北部で発掘作業を進めてきました。
その結果、2007年から2009年にかけて現存する人類の祖先のものとは明らかに違う形をしたあごや歯の化石が3点見つかりました。この化石を詳しく分析したところ、195万年前から178万年前にかけての異なる2つの種の初期の人類の骨とみられることが分かりました。
研究チームによると、化石が見つかった場所は、現存する人類の祖先の化石が見つかっている場所であり”人類の発祥地”として知られているケニアのトゥルカナ湖とも近く、年代も近いことから、およそ200万年前には、少なくとも3種の初期の人類が同時代に生きていたことを示しているとしています。
このため、研究チームは、異なる初期の人類が、それぞれ独自に進化していったものの、私たち人類の祖先だけが生き残ることができたとしており、人類の成り立ちの手がかりとなる成果として、注目を集めています。
今回発見された化石から、別の2種類の人類は大きな脳を持っていたことが分かっており、平らな顔をしていたことが分かりました。また研究者らは、見つかった人類を暫定的に「ホモ・ルドルフェンシス(Homo rudolfensis)」と名付けました。
さらにホモ・ルドルフェンシスは、強い咬合力を持っていたようで、現存する人類と一緒に暮らしていた可能性も指摘されています。