2012年1月19日、香港にある世界最大手のオンラインストレージサービス「Megaupload(メガアップロード)」にアメリカ司法省と連邦捜査局(FBI)の捜査が入り、運営者などの関係者8人が逮捕されました。著作権侵害などの疑いで起訴された同社は、19日時点でアメリカ司法省と連邦捜査局(FBI)によってサイトが封鎖されサービスの提供を終了しています。
被告らは、Megauploadを運営することで1億7500万ドル(約134億円)以上を稼いでいたということで、著作権保有者に5億ドル(約385億円)以上の損害を与えたとしています。また、この一連の騒動がネット関連企業が新著作権保護法案SOPA/PIPAに反対する大規模なストライキを行った翌日に行われたことから、ハッカー集団「アノニマス」もSOPA/PIPAを支持する企業へウェブサイト攻撃を行ったようです。
オンラインストレージサービス「Megaupload(メガアップロード)」は、利用者が1つのファイルあたり登録無しで500メガバイト、無料のユーザー登録をすると2ギガバイトまでのファイルをアップロードすることができるサイトであり、無料のユーザー登録をすると、200ギガバイトのオンラインストレージを利用することができます。さらに、有料のプレミアム会員もあり、プレミアム会員になるとダウンロードの際の通信速度が向上し、ファイルあたりのサイズ制限とオンラインストレージの容量が無制限となるなど、無料利用者よりも快適に利用することができます。また、ファイルアップ者がアップしたファイルを、第三者がダウンロードすることでファイルアップ者にはポイントが加算され、これを現金化することで利益を得る仕組みとなっています。
このため、運営側はユーザーの増加による広告収入とファイルを快適にダウンロードしたいユーザーがプレミアム会員になることで利益を上げ、ファイルアップ者はダウンロードされる動画(=著作権コンテンツ)を多くアップし、ダウンロード者はタダもしくは安くで多くのコンテンツをダウンロードできるという3すくみが成立していました。
以上の仕組みから、著作権を無視したアップロードが行われていたことで、今回、アメリカ司法省と連邦捜査局(FBI)の捜査と逮捕が執行されました。
Megaupload応援ソング
しかし、Megauploadユーザーにはハリウッドの著名アーティストなども多くいるようで、これまでMegauploadを利用していたユーザーやSOPA/PIPAに反対する人々からは大きな反発も起こっているようです。
今回の件が関係しているのかは不明ですが、「アノニマス」を名乗るツイッターアカウントは、DOJ、全米レコード協会(RIAA)、米国映画協会(MPAA)、UMGなどSOPA支持企業のWebサイトを攻撃したとツイートしており、Megauploadの捜査と逮捕はSOPA/PIPAを含めて著作権という法律に一石を投じています。
なお、今回の事件でMegaupload創業者のキム・ドットコムことキム・シュミット(37)ほか3人は同日、DOJの依頼でニュージーランド当局に逮捕され、さらに4人もニュージーランド国外で逮捕されました。当局はこの捜査で5000万ドル(約38億5000万円)の資産と18の関連ドメインを押収しました。DOJは米国、ニュージーランド、香港、オランダ、英国、ドイツ、カナダ、オーストラリア、フィリピンで20件以上の捜査令状を執行したといいます。
Megauploadは、登録ユーザー1億5000万人を超えており、ビジター数は1日5000万人。インターネットの全トラフィックの実に4%がMegauploadのものだったようで、多くのユーザーに支持されていたことは間違いなさそうです。今回の事件によって、動画共有サイトなどインターネット上にある著作権関連が問題となっている多くのサイトにも影響を及ぼしそうです。