グーグルの傘下にあり、動画共有サービスを提供しているサイトYouTube(ユーチューブ)が、音楽などの著作権や版権に関する専門の会社RightsFlowの買収を発表しました。
作曲家、音楽アーティスト、レーベル、配信会社、およびオンライン音楽サービスに対し、ライセンスおよびロイヤルティ契約の締結の支援を専門としているRightsFlowは、いわば「著作権のスペシャリスト」とでも呼ぶべき会社です。この買収によって、ユーチューブで問題となっていた違法コンテンツ問題に新たな展開が起こる可能性が出てきました。
YouTubeは、米国時間12月9日付けのブログの声明で、「RightsFlowの専門知識と技術をYouTubeのプラットフォームで活用することにより、YouTube上の音楽をより迅速かつ効率的にライセンスできると考えている。これによって、ユーザーはより多くの音楽を楽しみ、音楽を制作する才能ある人々はより多くの収益を得ることになる」と述べました。
親会社のグーグルやYouTubeは、これまでにも著作権問題が取り沙汰されていました。YouTubeは、2011年8月に音楽出版会社で構成される団体による集団訴訟において、和解に達しましたが、この訴訟におい、テレビ番組、映画、音楽ビデオの海賊版ビデオクリップのアップロードを助長していると訴えられていました。また、音楽出版会社らは和解成立当時の声明で、「今回の和解によって、音楽出版会社はYouTubeとライセンス契約を締結し、同サイトに投稿された動画で使用される音楽に対し、YouTubeからロイヤルティ料を徴収する機会を得ることになる」と述べていました。
ネット上、最大手の動画共有サービスであるYouTubeは、かつて海賊版コンテンツであふれていましたが、その後、フィルタシステムが構築されてからは、大手映画制作会社やテレビネットワークのほとんどが、同サイトから著作権侵害コンテンツが取り除かれたと考えています。
グーグルは、YouTube上で音楽を提供するために、大手音楽レーベルとのコンテンツライセンス契約も締結しており、また、YouTubeは、ハリウッドの大手映画会社や独立系の映画会社との間で、レンタルビデオのストリーミングを提供するための契約も交わしています。
RightsFlow社は2007年10月の設立以来、約1万ラベル以上、延べ3000万曲以上をデータベース化してきました。これらの実現するために、CDなどの従来のメディアを含めてデジタル音楽の識別や認識を素早く行える技術を持っており、またそれらの収支などに関する金銭的な問題解決ノウハウも持っています。
ネット上の創作物に関する権利やライセンスは、非常に複雑なものとなることが多いですが、このRightsFlowのデータベースと技術を使えば、二次創作などによる権利関係やロイヤリティなども簡略化できることが期待されています。
著作権侵害などが問題となる一方、これらの違法コンテンツによって認知度が増し利益を受けている面もあるため、単純に取り締まれば良いという簡単な問題ではないネット上の著作権問題。この買収によって、新たな解決策が提示されるかもしれません。