中国広東省の中級人民裁判所(地方裁判所)は、アップルが中国で「iPad」の商標を使うことを認めない判決を下しました。この判決は、アップルが2010年に中国広東省深圳市にある企業Proview Technology社に対して起こした商標権に関する裁判で下されたものです。今回の判決によってアップルは、全世界で使われているiPadという名称を、中国では利用することができなくなりそうです。
今回の出来事は、そもそもアップルから訴えられたProview Technology社が、「IPAD」という商標を2000年から2004年にかけて、EU、中国、メキシコ、韓国、シンガポール、インドネシア、タイ、ベトナムの各国で商標登録していたことに端を発しています。このあと2006年に、Proview Technology社はアップルへ商標権を譲渡しました。しかし、その際の取引で、EUなどの各国における商標権に関しては譲渡したものの、中国国内での商標権譲渡は含まれていないと主張しました。
Proview Technology社は現在、深圳と恵州でのiPadの販売差し止め訴訟を起こしています。Proview Technology社の弁護士であるXie Xianghui氏は「我々は、この裁判を2つの都市で始めた。これらの都市でのiPadの販売差し止めに成功したら、中国全土での販売差し止めについても検討したい」と語っています。
今回の件で、このまま話しがこじれて問題が続く場合、アップルは中国での「iPad」の名称を新しく考えなければなりません。海外では「iBAD」(アイバッド)や「iYah」(アイヤー)などという新しい名前も挙がっており、中には「iRad」なんていう、ある意味中国らしいものも提案されています。
果たして、裁判がどうなるのか、はたまた新しい名前が付けられるのか、今後の展開が注目されます。