フィンランドの電気通信機器メーカーで、スマートフォン「ブラック・ベリー」などでおなじみのノキアが、4月に行った研究開発職6800人の人員削減に加え、製造部門でも3500人の削減をすることを発表しました。
同社は事業の再編成や経費削減のほか、製造拠点をアジアに移設する戦略を進めています。しかし、これまでのところリストラの効果は同社株価に表れていない模様です。
ノキアは生産台数で世界最大の携帯電話メーカーだが、アップルの「iPhone」やグーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」搭載のスマートフォンとの競争が激化したここ数年、市場シェアが急低下しています。
アップルの「iPhone5」に関する市場調査でも、アップルやグーグルに大きく遅れをとっていることがうかがえます。
ノキアは4月、自社製基本ソフト(OS)「シンビアン」から、マイクロソフトとの提携に専念する方針を固めました。この提携により、ノキアの新しいスマートフォンの全てにウィンドウズOSが搭載されます。
また、2012年末までにデンマーク、英国、フィンランドで従業員約4000人を解雇する計画を発表しました。さらに、コンサルティングのアクセンチュアに2800人が転職するとのことで、この日発表された追加削減を含めると、同社の従業員数は7.4%削減されることになる。
加えて、既存の携帯電話を製造していたルーマニアの工場を閉鎖し、アジアに工場を移転する計画を進め、フィンランド、ハンガリー、メキシコの工場についても人員削減を行う見込みだといいます。
最終集計では、3500人に加えて2012年末までに全体で約7000人の人員削減が発表されたことになります。
米ハイテク調査会社ガートナーによると、ノキアの第2四半期販売台数は9787万台と、前年同期の1億1147万台から落ち込み、全世界市場シェアも30.3%から22.8%に低下しました。また、スマートフォン市場のシェアにおけるノキアのOS「シンビアン」のシェアも1年前の40.9%から22.1%に低下しています。
ノキアは、こうした人員削減によって、2013年までに経費を10億ユーロ節減するという従来目標が達成されると見込んでいます。
マイクロソフトとのタッグでもスマートフォン市場でシェアを拡大できなかった場合は、ノキアは更なる窮地に追い込まれるかもしれません。