その国の最高権力者である大統領になる人物は、資本主義、社会主義に関係なくそのほとんどが大金持ちです。ところが、ウルグアイ大統領ホセ・ムヒカ氏はほとんど個人資産を持っていません。世界一貧乏な大統領ホセ・ムヒカ氏をご紹介します。
ホセ・ムヒカ(ホセ・アルベルト・ムヒカ・コルダノ)氏は、ウルグアイの政治家で社会主義思想の持ち主。2009年11月ウルグアイ大統領選挙に当選し、2010年3月1日よりウルグアイの大統領となった第40代大統領です。
その経歴は大統領らしくありません。首都モンテビデオの貧困家庭に生まれたムヒカ氏は、家畜の世話や花売りなどで家計を助けながらも、1960年代に入って左翼ゲリラ組織ツパマロスに加入、ゲリラ活動に従事します。ツパマロスと治安組織の抗争の激化、労働組合や職人組合の政治経済への反発といった時代のもと数々の襲撃、誘拐にたずさわる中で、ムヒカ氏は6発の銃弾を受け、4度の逮捕(そのうち2回は脱獄)を経験します。
1972年に逮捕された際には、軍事政権が終わるまで13年近く収監されており、軍事政権側の人質として扱われていました。他の「人質」としては、のちに上院議員となるエレウテリオ・フェルナンデス・ウイドブロや、ツパマロスの創設者ラウル・センディックなどがいます。
出所後ゲリラ仲間と左派政治団体を結成します。その後、1995年の下院議員選挙で初当選を果たし、2005年に初の左派政権となるタバレ・バスケス大統領のもとで農牧水産相として初入閣。そして2009年度の大統領選挙戦で、元大統領である国民党公認候補ルイス・アルベルト・ラカジェを決選投票で破り見事勝利しました。
愛称はエル・ペペ。妻は元ツパマロスのルシア・トポランスキー上院議員。愛読書はドン・キホーテ。趣味は花の栽培。ムヒカ氏の個人資産は、フォルクスワーゲンのみで、大統領公邸には住まずに、首都郊外の住居に暮しています。
その生活ぶりを見れば、どこにでもいる田舎のおじいさんですね。政策や思想はともかく、これだけ徹底した態度を貫いていることが国民の支持を受ける大きな理由のようです。