将来的には、電池が切れた携帯電話はポケットに入れているだけで自動的に充電されるようになるかもしれません。
ウェイクフォレスト大学の研究チームは、体温程度の熱を使って発電できる新素材「パワーフェルト(Power Felt)」を開発しました。
「パワーフェルト(Power Felt)」は、アメリカ・ウェイクフォレスト大学のナノテクノロジー研究をしているデビッド・キャロル教授によって開発された新素材。熱を電気に変えるという信じられない性能を備えています。
パワーフェルトが凄いのは性能だけではありません。ソーラーパネルなどに比べて非常に値段が安く、スマートフォンを充電させるためのカバー程度の大きさなら1ドル(約80円)程度で作れるといいます。
さらにパワーフェルトは汎用性があり、ラジオやライトなどにも応用することが可能。緊急時に電気がなくても、人間の体温があれば使うことができます。
パワーフェルトは、自然界に存在しない物質でできており、プラスチック繊維やカーボンナノチューブをナノテクノロジーで布状にしたものです。
パワーフェルトによると発電の原理は、次の通りです。鉄の棒の一方の端を手で掴むと体温で温まります。このとき、熱はもう一方の冷たい端の方へ移動しますが、同時に電子も移動します。この電子の移動こそが電気であり、パワーフェルトの発電のメカニズムだといいます。
さらにこの原理を用いれば、温度差による発電だけでなく自動車の振動などから発生する音からも電気を生み出すことができるといいます。
現在は、パワーフェルトを利用したTシャツを作っているとのことで、これは周囲のガジェットの電源として利用できる程度だといいます。また現時点では、触っているだけで携帯電話の利用時間を20%程度伸ばすことができるといいます。
一箇所で大量の電気を作り送るという現代の方式は、非常に電気のロスが大きいですが、個々が必要な分だけ発電できれば、発電量が少なくてもロスが小さいため十分に利用できる資源となりそうです。
衣服はもちろんのこと、カーテンやカーペットなどあらゆる場面で利用できそうなこの技術。さらに柔らかいため、平面以外の場所でも使うことができそうですね。使い道を想像するだけでワクワクする素晴らしい技術でした。