1969年、人類史上初の月面着陸に成功したアメリカの宇宙船アポロ11号の船長ニール・アームストロング氏が25日、死去しました。82歳でした。アームストロング氏は、今月受けた心臓のバイパス手術後に合併症を患っていました。
オバマ大統領は25日、声明で「アームストロング氏は米国の偉大な英雄の1人」と強調した上で、「彼の精神は未知の物への開拓に身を捧げるすべての人々の心に生き続ける」と、最大級の賛辞を贈りました。
アームストロング氏は中西部オハイオ州生まれ。海軍入隊後、朝鮮戦争に従軍しました。55年に大学(航空宇宙学専攻)を卒業後、現在の米航空宇宙局(NASA)入り。62年に宇宙飛行士となりました。
月面着陸の様子
69年7月に月面に降り立った際には、「14人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍だ」と語り、世界中で注目されました。米国は旧ソ連に人工衛星打ち上げ(57年、スプートニク1号)で先を越され衝撃を受けていただけに、月面着陸は米国中を驚喜させました。
地球への帰還後、退役し、シンシナティー大学で教壇に立りました。宇宙飛行士から上院議員に転身したジョン・グレン氏のように、政界入りを勧める声もありましたが、固辞し続けました。
アームストロング氏の遺族は25日、世界中の若い世代に対し、「自分自身のことよりも大義のために身を捧げてほしい」と強調するともに、「澄んだ夜、月があなた方にほほ笑みかけるとき、アームストロングのことを思い出し、ウィンクしてほしい」との声明を出しました。
科学的にも政治的にも、世界に大きな影響を及ぼした立役者の1人が亡くなったと言えそうです。手術の失敗が死につながっているとすれば非常に残念ですね。