暑い日が続くと、うちわで自分自身をあおいで涼むことがあります。しかし、この行為には身体を冷やす効果がある一方で、あおぐ運動によって体温を上げてしまう効果もあります。果たしてうちわであおぐことに意味はあるのでしょうか。
アメリカ・カリフォルニア工科大学の理論天体物理学教授スタール・フィニー氏によると、うちわであおぐことには効果があるといいます。
フィニー教授によると科学的根拠は以下のようになるといいます。
熱損失(ヒートロス)
人間の体は放射や熱伝導、蒸発(つまり発汗)により熱を失うといいます。熱伝導と蒸発はより重要で、湿った肌よりも温度・湿度が低い場合に起きます。空気の分子は人間の肌に衝突するとすぐに、肌が触れている空気の温度を体温まで引き上げ、湿度を100％にします。肌にまとわる空気がそのまま留まれば、体温は下がりません。そこで、温度・湿度が低い空気に入れ替える必要があります。
こうした現象は、肌をとりまく1～3ミリの動きのない空気の層である「境界層」で起きます。空気が動くのはこの層の外側。空気の動きが速ければ速いほど、境界層はより薄くなり、より多くの熱が失われます。
ただの1ワット
安静にしている時、例えば換気の悪い教会で説教を聞いている時、人間が生産するエネルギーは約100ワットです。うちわをあおげば、約１ワットがこれに加わるかもしれませんが、体の周辺の空気の速度が大幅に増すことで、ヒートロスは倍増し得ると言えます。そのため1％の努力で、2倍の涼しさを得られる可能性があると言えます。
ポーチブランコ
家のドアの前のテラスに設置されているポーチブランコは、一押しすれば空気の中を数分間揺れます。そのため、ほとんど労力をかけずに、自分自身の風で体を冷やすことが可能となります。アメリカ南部でポーチブランコに人気があるのはこうした理由によるものだと教授は分析します。
この「うちわのジレンマ」については、昔から疑問を持っていた人もおおいのではないでしょうか。これからは、涼みたいときには迷わずうちわであおぎましょう。
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