選択のパラドックスについて語ったバリー・シュワルツが、今度は現代が抱えている社会問題の解決策を提案します。官僚主義を突き詰め、破綻の道を進む社会の特効薬として「実践知」が必要だと提唱します。規則は役に立たず、よかれと思って与えるインセンティブは裏目となり、そして、実際的で日々の糧となるような知恵こそ世界を再建するのだとバリーは力強く説きます。
バリー・シュワルツは、清掃員などの日常業務を例に挙げてマニュアルどおりに動くだけでなく、ジャズピアニストのように即興で状況に臨機応変に対応することが必要だと指摘します。さらにこれらの賢さ(能力)は学んで体得することができるといい、それには有能さは不要でも知恵は必要だとします。
また、レモネードを飲ませた父親を例に挙げて、規則とインセンティブに頼りすぎることは考える力を奪ってしまうと指摘します。さらにこれらは労働から倫理観を無くしてしまうともいいます。
「実践知」という言葉を使いその重要性を説いていますが、ダニエル・ピンクの「やる気に関する驚きの科学」でも指摘しているようにインセンティブと生産性の関連性を指摘しているといえそうですね。お金が以外の動機で働ける社会が必要なのかもしれません。