眠っている間に、英語のCDを聞いて英語が話せるようになるといった「睡眠学習」は、昔から取り上げられるものの「効果なし」のレッテルが貼られてきましたが、ワイツマン科学研究所の行った最新研究によると睡眠学習は理論的に実現が可能だということが明らかとなりました。
人間は1日の3分の1の時間を睡眠に費やしていますが、時間のない現代人はこの睡眠時間を有効活用できるかもしれません。
ワイツマン科学研究所が行った実験は、眠っている人に「匂い」と「音」を組み合わせて聴覚と嗅覚に刺激を与えるというもの。その後、目を覚ました被験者に「音」の刺激を与えると、眠っていたときにしか嗅いだことのない「匂い」を思い出したといいます。
この実験によって、眠っているときに与えられた「匂い」と「音」という聴覚と嗅覚の刺激が、脳内で関連付けられているということが分かりました。
まるで「パブロフの犬」のような条件反射が眠っているときにも起こることを証明する実験結果ですが、これを応用すれば睡眠学習も可能となるといいます。
さらに最近では、ノースウェスタン大学の研究チームが行った実験でも、睡眠学習が可能であることが認められています。
ノースウェスタン大学の実験では、被験者に2曲の曲の弾き方を覚えさせた後、暗い快適な部屋で90分の睡眠を摂らせます。この部屋では、覚えた2曲のうちの1曲だけが繰り返し流れました。その後、起きてから覚えた2曲を弾こうとすると、睡眠中に聞いていた曲の方がよく思い出すことができたというものです。
この実験から、睡眠学習によって一度学習したものが睡眠中に強化されたことを示しているといいます。
2つの実験結果を統合すると、睡眠学習によって予習も復習もできてしまうと言えそうです。ただし、現段階では「眠っている間に英語のCDを聞いているだけで英語が話せるようになる」とまでは言えないようです。
また、睡眠中の刺激に対して人間の脳がオープンになっていることが示唆されたものの、「睡眠中に見た夢を忘れてしまう」ことや「睡眠が記憶の定着に影響している」ことなど、”眠り”と”記憶”との関連性については分からないことが多いようです。
非常に不思議な眠りと記憶の関係、睡眠学習は素晴らしいかもしれませんが、寝るときくらいゆっくり眠りたいものですね。
記憶を整理してる時にそんなことしたら起きてるときの勉強内容が定着しなさそう