神戸大学の郡司ペギオ幸夫教授が、カニを使ったコンピュータについての論文を公開し話題となっています。この論文によると、「ビリヤードボール・コンピュータ」理論をカニに応用することで、カニをコンピュータとして利用できるというものです。
「ビリヤードボール・コンピュータ」とは、ニュートン力学に基づく計算モデル。球状のビリヤードボールが完全弾性衝突を行うことで計算を実現します。ビリヤードボール・コンピュータは、チューリング完全であるため停止性問題を模倣できます。したがって、ある地点にビリヤードが到達するかは、ニュートン力学の下では決定不能です。
郡司教授は、群れで移動するグンタイガニ(Soldier Crab)が、2つの群れ同士が衝突した際に両者が合体し、それぞれの向きを合計した方向に進んでいくことに気付いたといいます。この動きを利用し、ビリヤードボール・コンピュータと同じ概念を導入することで論理回路を実装できるといいいます。また、実際に40匹の蟹を使って実験を行ったところシミュレーションとほぼ同様の結果が得られ、「蟹ベースのコンピュータ」を実現できることが示せたとしています。
「ビリヤードボール・コンピュータ」というと難しいですが、つまり、2つのカニの群れが合体した際に動く方向には規則性があり、その動きを二進法的にとらえることでコンピュータとして利用できるようです。自然界には、人間が考えている以上にさまざまな法則が隠れているのかもしれません。