以前ご紹介したフィンランドで撮影されたオーロラをご覧になればお分かりになると思いますが、一般的にはオーロラは青や緑といった寒色系の色になることがほとんどです。ところが、太陽の活動が活発になり「日本でもオーロラが見られるかも」とニュースになった1月中旬にオーストラリアで撮影されたオーロラは夕日のように真っ赤だったようです。それでは、世界でも珍しい赤いオーロラをご覧ください。
このオーロラは、2012年1月16日と22日にオーストラリアの南海岸で撮影されたタイムラプス映像です。ご覧のとおり、よく見るオーロラとは違い赤、オレンジ、ピンクなど見たこともないような美しい色のカーテンがたなびいているのが確認できます。
この色の原因は、オーロラという現象そのものの発生理由と関係しているようです。発生の原理は、「太陽風」と呼ばれるプラズマ粒子の流れが地球磁場と相互作用し、複雑な浸入過程を経て地球磁気圏内の夜側に広がる「プラズマシート」と呼ばれる領域にたまります。このプラズマシート中のプラズマ粒子が、地球大気(電離層)に向かって高速で降下し、大気中の粒子と衝突すると、大気粒子が一旦励起状態になり、それが元の状態に戻るときに発光する光がオーロラです。
オーロラの色は発光が起こる高度によって決まり、上方の高度200km以上では赤色、200kmから100kmの低高度では緑色、100km以下の最下部ではピンク色や紫色になります。
今回のオーロラは、磁気嵐によって磁力線が低緯度側にゆれることや、赤いオーロラが高高度であるために地平線に沈みにくいなどの理由によって低緯度のオーストラリアでも観測できたようです。また、オーストラリアと同じ低緯度の日本でも、同じように稀に赤いオーロラが観測されることがあるようです。
もしかすると、同じ時期に日本でも赤いオーロラが観測されていたかもしれませんね。非常に珍しい赤いオーロラの微速度撮影映像でした。