「予想通りに不合理」の著者である行動経済学者ダン・アリエリーは、昔ながらの視覚的錯覚や彼独自の思いもよらぬ(時にショッキングな)研究結果を用い、人が何かを決断する際、自分で思っているほど合理的ではないことを証明します。
ダン・アリエリーは、錯視や臓器提供プログラムの記入用紙のデザインという実例を挙げて、人間が決断する際にいかに自分の意思を反映できていないかを証明します。また、人間はしばしば合理的でない決断を下しており、さらにその決断を自分の意思によるものだという風にさえ思い込んでいるといいます。
これらのことから、私たちの認識の問題に対してできる最善の対処法は、「自分たちは常に合理的なモノの見方や決断ができるわけではない」ことを理解し、限度をわきまえて物質的・精神的な生産物を設計する必要があるといいます。
なんだか「無知の知」そのままのような話ですが、それを分かっているようでも分かっていないのが、こういった問題の難しい点にあります。どんな事に対しても決断を急がず、分からないものは分からないまま遠くまで引っ張って考えていくという姿勢が唯一の対処法だといえそうです。とっても面倒ですけどね。