サムスンが発売前に「iPhone5」の販売禁止の法的処置を検討するなど、世界各国で特許権に関する法廷闘争を繰り広げている両社ですが、オーストラリアではサムスンの「ギャラクシータブ10.1」の販売を差し止める仮判決が下されました。
サムスン側は、オーストラリアで発売するデバイスのバージョンとアメリカのバージョンが違うことを主張していましたが、タッチスクリーン技術などアップルがiPadでの特許が侵害されていると訴えている機能を使うなら、サムスンはオーストラリアで同製品を販売できないという判決を下しました。
これに対して、サムスン側は控訴する構えだといいます。また、ワイヤレス技術などに関しては、逆にアップルに特許侵害されているとして提訴する予定だとしています。
ドイツの判決と今回のオーストラリアの判決から、この法廷闘争はアップル側が有利に展開しているようにも思えます。
しかし、電気通信業界のアナリスト、ポール・バド氏は「アップルが革新的な新技術を開発したのはたしかだが、現実にはわれわれはオープンな世界に生きており、1つのイノベーションがあれば、世界が同様の方向に進むのを止めることはできない」と話します。また、あまりにも法律で厳しく縛り独占状態になりすぎると、逆にファンなどから見放される可能性があるといいます。
これだけ早い進化を続けるタブレットで、販売指し止めに合えば、その後たとえ販売できたとしても時代遅れなものとなります。今回の判決は、サムスンにとってはオーストラリアでの「ギャラクシータブ10.1」の事業展開を絶望的なものにしたのかもしれません。