2012年6月に、カナダの空一面におっぱいのような「乳房雲」なる驚くべき雲が現れた様子が撮影されました。もこもこもこもことなった見たこともないような不思議な雲をご覧ください。
ご覧のとおり、丸みのあるお椀型おっぱいのような雲が空一面に広がっています。
この雲は「乳房雲」と呼ばれるもので、雲底からこぶ状の雲がいくつも垂れ下がっている状態のことをいいます。その形は乳房、泡などとも形容され、巻雲、巻積雲、高積雲、高層雲、層積雲、積乱雲などに現れます。
雲底で下降気流や渦流が発生しているとき発生する雲で、積乱雲の場合、雲の中に大量の雨粒や雪・氷の粒が蓄えられているようなときに、乱流を伴った下降気流が生じることがあります。雲の中の気流は多数の乱流(渦)を持った下降気流、雲の下の気流は上昇気流または雲の中よりも弱い下降気流であるため、雲の底面付近で気流の衝突が起こります。すると、雲の中の乱流がこぶ状の雲となって現れます。積乱雲やそれに付随する雲で見られることが多いですが、それ以外の雲でも、乱流のあるときに現れることがあります。
乳房雲の出現は強い下降気流の発生を示唆しており、下降気流に伴って降る大雨や雹、雷に注意が必要であります。また、はっきりとしたこぶが現れた場合は激しい気流の渦が発生していることが考えられ、上空では乱気流、地上近くでは竜巻が発生する恐れがあります。ただし、上空高い所の乳房雲(巻雲や巻積雲など)は乱流が原因といってもその影響が地上にまで及ぶことは考えにくく、地上の竜巻よりも上空の乱気流への警戒が必要であります。
積乱雲など、特に上空の低い所に現れる乳房雲は、アメリカでは竜巻の前兆として広く知られています。