床に食べ物を落としても3秒以内に拾えば食べることができるという「3秒ルール」。日本だけでなく北アメリカからイギリスまで世界的規模で認知されており、3秒以外にも5秒、10秒、15秒などのバリエーションが存在します。
イギリスのマンチェスター・メトロポリタン大学の研究者らは、この「3秒ルール」の真偽に関する最新研究を発表しました。
今回の実験では5つの食品、ジャムパン、パスタ、ハム、ビスケット、ドライフルーツを地面に落とし、それぞれ3秒間、5秒間、10秒間放置した後に拾い上げ、細菌の繁殖具合を調べました。これらの食品は、それぞれが異なる水分量であることから選ばれました。
研究の結果、塩もしくは砂糖の含有率の高い食品は、床に落としても細菌が繁殖しにくいため、食べても比較的安全な食品であることが分かりました。ハム、塩が多く含まれる食品、甘いジャムパンは、床に落として3秒以内の場合、少ししか細菌が増加しませんでした。
一方で床に落として3秒以内でもパスタとドライフルーツでは、肺炎、尿路感染症、敗血症などを引き起こす可能性があるクレブシエラ属の細菌が確認されました。
ビスケットに関しては、3秒、5秒、10秒全ての結果において、床に落としても比較的安全な食品であることが判明しました。
マンチェスター・メトロポリタン大学の技術責任者キャシー・リー氏によると、「水分含有量が少ないビスケットでは細菌がくっつきにくいためほとんど細菌が検出されなかった」「ハムは、塩と硝酸塩によりほとんどの細菌の増加を防いだ」「パスタはクレブシエラ属細菌が少量検出され、5秒以上ではわずかに細菌量が増加した」「ドライフルーツは、数え切れないほどの細菌を検出」「ジャムパンは、糖度の高いジャムによって細菌の増加があまりみられなかった」といいます。
また落とした食べ物を食べる場合に気をつけるべきことして、定期的に床掃除をしておくことを推奨しており、理想としては1日1回のモップかけと3ヶ月に1度のモップの交換することだといいます。
この3秒ルールの疫学的調査については、これまでにも2003年にイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の7週間の見習い期間において、当時高校3年生だったジリアン・クラークによって行われています。その際には、「乾いた床に落ちた食品は安全であること」「床が汚染されていた場合には、全ての食品において5秒以下の時間でも相当数の菌があった」「クッキーやキャンディーはブロッコリーやカリフラワーよりもよりルールを適用されやすいこと」などが発見され、クラークこの研究の功績により、2004年度の公衆衛生のためのイグノーベル賞を受賞しました。
今回の研究では、塩や砂糖の含有量の多い食品では比較的安全であり、同時に乾いた食品も安全なことが判明しました。3秒ルールを適用する際には、床の状態と食べる人間の体調、落とした床の状況を慎重に見極める必要がありそうですね。