自然界の動物の中には、身体の色を一瞬にして変化させることで擬態するものが多数いますが、イギリスのブリストル大学の研究者らはそれらの生物のように一瞬で身体の色を変化させることのできる人工筋肉の開発に成功しました。カメレオン人間が誕生するかもしれません。
今回開発された色を変化させる方法は、イカタイプとゼブラフィッシュタイプの2つだといい、2タイプはまったく異なるメカニズムによって機能しています。
イカタイプでは、色素を含む筋肉を電気によって拡大収縮させること、色を目立たせたり目立たせなくしたりして身体の色を変化させます。
一方ゼブラフィッシュタイプでは、液体状の色素を身体の中を循環させることで色を変化させます。人工筋肉では、シリコンの層の間にポンプで色素を流し、色を変化させているといいます。
動画前半の黒い粒の拡大・縮小はイカタイプ。後半の液体が流れているものはゼブラフィッシュタイプ
今回の変色人工筋肉研究の主任研究者ジョナサン・ロシター氏によると、この変色人工筋肉は伸縮性を持ち変形するため人工皮膚として利用することもできるといいます。さらに、研究を進めることで色を変える効果を高めることも可能とのこと。
タコのように色が変わる人間が誕生するかも
この変色人工筋肉は、人工皮膚として人間の身体の色を変化させるほか、色を自由自在に変化させられる衣服などへ応用も期待されています。
また、これらの擬態迷彩機能はアメリカ海軍も研究しており、完成すれば自由自在に迷彩できる兵士を作ることも考えられます。実際、アメリカ海軍はイカのような迷彩を行う基礎研究のために、アメリカの科学者チームに600万ドル(約4億8000万円)の資金支援をしています。
ますます現実味を帯びてきた迷彩技術。日常の生活を豊かにできる可能性がある反面、軍事利用されれば恐ろしい結果を招くかもしれません。