仏各メディアによると、2012年3月10日、「メビウス」「ジル」のペンネームで知られるフランスの漫画家ジャン・ジロー氏がパリで死去したことが明らかとなりました。73歳。ジロー氏は、長く闘病生活を送っていたといいます。
ジャン・アンリ・ガストン・ジローは、1938年にパリ郊外のノジャン=シュル=マルヌで生まれました。16歳の時、ジローはArts Appliqués(応用美術)の独習を開始しました。18歳の時に、ジローの漫画作品『Frank et Jeremie』が『Far West』誌に掲載され、1961年には、当時のヨーロッパを代表する漫画家であったジジェの許に弟子入りし、『Jerry Spring』の制作に加わりました。
1962年にジローは原作者のジャン・ミシェル・シャルリエと共に、『Pilote』誌で『Fort Navajo』の連載を開始し、同作に登場するブルーベリー中尉はたちまち人気キャラクターとなり、ブルーベリー中尉が活躍するスピンオフ西部劇作品『Blueberry』はジローの生地フランスで最も知名度の高いジローの作品となりました。
その後も、リドリー・スコット監督によるSF映画『ブレードランナー』にも主要キャラクターの衣装デザイナーとして参加するなど精力的に活動、『ブレードランナー』の画期的な「混沌とした未来社会のイメージ」は、ジローの作品からインスパイアされたものであり、ジローが作りだした未来社会のイメージはこの映画を経由して、多くのサブカルチャーに影響を与えました。
映画監督・宮崎駿の友人としても知られており、彼ら2人は、2004年12月から翌年3月まで、パリ造幣局で両者の作品の展示会を共同で開催しました。また、ジローと宮崎監督は互いのファンであり、長年の親交を保っており、宮崎監督はジローがメビウス名義で発表した『アルザック』から多大な影響を受けたと語っています。