ヌードモデル1000人を死海に浮かべたアート写真は記憶に新しいですが、今回はデジタル加工などを駆使して作られた数千人の裸のアート写真をご紹介します。
ニューヨークを拠点に活動しているアンジェロ・ムスコさんは、出産や妊娠といったテーマを絡めながら、数千人の全裸の人間を重ね合わせることによって、蟻の巣や蜂の巣といった自然界にある複雑な構造物を作り出します。
これらの特異な作品の背景にはムスコさん自身の生い立ちが関係しています。
彼は生まれる前、母親の胎内で11ヶ月(通常は9ヶ月程度)もの期間を過ごし、生まれたときには体重が6.5kgに達していました。そのため母親は難産となり、生まれた後の数年間、彼の右半身には麻痺が残り、母親はムスコさんが死んだものだと思ったことで極度のストレスがかかり、母乳が出なくなってしまいました。
そのような恐ろしい経験は、彼の作品に影響を与えており、さらに右半身が不自由で運動が出来なかったことが、彼を芸術へ関心を持たせることとなりました。
蟻の巣、蜂の巣、蜘蛛の巣、魚の群れなどのように見える裸の人間から作られたダークトーンの作品は、人間の弱さや自然への畏怖の念などを感じ取ることができます。
製作風景