イギリスの森では、ある不思議な木を見ることができます。その木とは、コインがニョキニョキと生えている「お金の木」です。コインの生えている木なんて夢のようですが、この木からコインが生えているのには”ある事情”があるようです。
このお金の木が生えいる森は、イングランドのピークディストリクトからスコットランドのハイランドへの途中にあります。
生えいているコインは古い銅貨や銀貨などもあり、木は異様な雰囲気を放っています。
実はこのコイン木から生えてきたものではなく、森を通りかかる人々が数百年前から木に石やハンマーで打ち込んできたものなんだそうです。そのためコインの頭はぐにゃりと曲がりゾッとするような風景を生み出しています。
このコインを打ち込む風習は、神様に対するお供えものとして始まったそうで、クリスマスの時期には木に住む神様にお菓子などが捧げられていました。
この風習は、恋人が橋やフェンスに南京錠を付けるおまじないやトレビの泉にコインを投げ入れる風習、日本の賽銭などを彷彿とさせるものがあります。
イギリスではこの風習が、1700年代にスコットランドのどこかで病人がコインを木に打ち込んで病気が治ったことから始まったと考えられています。また、このコインを引き抜くと引き抜いた人間が病気になるというふうに信じられています。
スコットランドではこういった風習のほかにも、木に釘を一発で打ち込むことができれば男性は恋人からキスをしてもらえるというものもあるそうです。
オノ・ヨーコも芸術作品制作のために、1877年にヴィクトリア女王が訪れたコインの木を訪ねたことがあるそうです。
世界各国で同じような風習が行われていることも面白いですが、ケルト系の多神教思想の残るスコットランドでの風習であることも興味をそそりますね。やはり、こういったおまじないは多神教地域特有のものなのかもしれません。