フンコロガシ(スカラベ)とは、おもに哺乳動物の糞を転がして球状化させつつ運び、地中に埋めて食料とする昆虫です。そんなフンコロガシですが、これまでどんな糞を好んでいたのかは分かっていませんでしたが、北アメリカのグレートプレーンズで行われた最新研究で驚きの事実が判明しました。なんと、人間のうんこがフンコロガシが最も好む糞でした。
この研究はネブラスカ大学の研究者などが行ったものです。行われた実験は、現地、海外に生息するさまざまな種類の草食動物、肉食動物、雑食動物の糞を誘引源としたフンコロガシトラップを設置し、2年間に渡ってフンコロガシを捕獲し続けました。
その結果、15種類9000匹以上のフンコロガシが捕獲され、掛かった罠の誘引源に使われていた糞からフンコロガシは雑食動物の糞を好むことが明らかとなりました。さらに特にフンコロガシにとって魅力的とされた糞は、人間とチンパンジーのものであることも分かりました。
フンコロガシが草食動物の糞よりも雑食動物の糞を好んだ理由として、雑食動物の糞の方が強い香りを放っていたためだとされています。
他にも、フンコロガシは同じ草食動物でもシマウマ、ロバ、ヘラジカなどよりも現地に生息するバイソンの糞を好むことも明らかとなりました。
しかし今回の実験では、同じエサを食べて排出された糞ではないことなど、いくつか納得できない点があることで、さらに研究が進められるといいます。
人間の糞がフンコロガシの味の好みに合っていたことも驚きですが、どうやら現地のバイソンの糞を好んでいることから「おふくろの味」的なものもあるのかもしれません。フンコロガシは、我々が想像するよりもグルメな昆虫だったようですね。