映画『ターミネーター』に登場する殺人ロボットT-800は、ロボットであるにも関わらず怪我をしても自己治癒してしまいました。ところが、アメリカのサザン・ミシシッピ大学マレク・アーバン教授率いる研究チームが、まるでターミネーターの皮膚のように、出血によって傷口を修復してしまう新素材プラスチックの開発に成功しました。
この新素材は、亀裂や損傷などのダメージを受けた部分が赤く変色する性質を持っており、光や温度変化、pH変化などによって自己修復する性質があります。このプラスチック素材が赤くなる理由は、分子構造が断裂した際に赤く変化する性質を持たせたためだといい、環境変化によって分子構造が繋がることで自己修復し、色も元通りになります。
アーバン教授はこのシステムについて「母なる自然に存在する生物学的システムには自己修復能力が備わっており、私はそれを模倣しただけです」と語っています。
この新素材プラスチックは、携帯電話から自動車までのありとあらゆる製品への利用が検討されています。また、赤くなる性質によって破損箇所が簡単に分かるだけでなく、修復しているかも確認できるため非常に有用な性質です。さらに、修理することもなく自動的に直るため、環境的、経済的にも非常に効率の良い素材だといえます。
ロボットだけでなくあらゆる製品に利用できるユニークな新素材、研究チームは今後、高温に耐えることのできる機能を新素材に組み込む研究に取り組むといいます。