イタリア・ナポリで、財政破綻の影響で市内の清掃や消毒をこの1年間行われなかったことが原因で、今月上旬から大量のゴキブリが下水道から地上に這い出してきて大問題となっています。中には体長8cmを超える巨大なゴキブリも現れているといいます。
もともとナポリのゴミ収集システムは非効率で評判が悪く、ゴミの都と揶揄されてきました。さらに制度変更でゴミ収集車が早朝に来ることになったため、飲食店などは夜中のうちにゴミを出さねばなりませんでした。その結果、腐りかけの食べ物が高温多湿の環境の中、何時間も下水溝の上に放置されることになり、ゴキブリの大量発生につながりました。
市の職員は現在、1日に何度も下水道や飲食店に殺虫剤をまいてゴキブリの増殖を防ごうとしています。歩道はゴキブリの乾いた死骸で埋め尽くされ、当局はこれを除去するために特別な清掃部隊を繰り出している状態。
一方、保健・衛生当局はゴキブリのせいでA型肝炎や腸チフスが蔓延する恐れを指摘しています。ゴキブリはぜんそくにも悪いので、当局は患者に対し、ゴキブリの発生が多い地区には近づかないよう警告しています。
しかし高温多湿である夏の暑い時期に、ゴキブリを全滅させるのは不可能に近く、専門家によれば「大事なのは1年を通じて下水道を清潔に保つこと、そして9月に産まれた卵を全滅させること」だといいます。
現在の方法では、環境に対する影響や薬剤に耐性を持つゴキブリの誕生が懸念されています。
さらにナポリには、4~5年前に南のエオリエ諸島からフェリーで侵入した最大で体長8cmを超える巨大ゴキブリが闊歩しており、夜中だけでなく昼間から街中を歩き回り人を恐れないといいます。この巨大ゴキブリは、退治が容易だった従来の小型種を駆逐してしまったと考えられています。
観光地ナポリのイメージ悪化を恐れるデマジストリス市長は、この問題に触れたがりません。先週行われたゴキブリ対策の緊急会議でも「マスコミは騒ぎ過ぎだ」と一蹴し、「これではナポリの町がゴキブリだらけと思われてしまう」と述べています。
この市長の意見とは対照的に、ナポリの街をよく歩くという緑の党のディアナ・ペッツァ・ボレッリによれば、今は「ゴキブリが多過ぎて、ナポリの道を歩くとクッキーを踏み付けているような気持ち悪い音がする」といいます。