人間の発生のメカニズムは、子宮内で受精卵が細胞分裂を繰り返すことによって細胞が増殖し、遺伝子情報に沿って各器官が形成されるというものです。その過程で赤ちゃんの顔は、さまざまな形状へと次々に変化していきます。今回は、そんな赤ちゃんの顔の移り変わりを実際の胚をスキャンして制作されたシミュレーション映像で見ながら、鼻の下にあるくぼみ「人中穴」がどのようにできるのかをご紹介します。
イギリスの国営放送局BBCによって制作されたこのタイムラプス映像は、実際に胎内の胚をスキャンした映像から制作されました。
穴だらけの赤ちゃんの顔は人間の顔に形成される段階で、まるで地球上の地盤が動くかのようにいくつかのプレートが変動することで鼻の穴、口、目などのパーツが形成されていきます。その際、口となる部分と鼻の穴となる部分が別々に形成されるために肉がくっつき、鼻の下の人中穴が形成されます。
そのため、このプレートの変動や融合がなんらかの影響によって失敗すると、赤ちゃんは「口唇口蓋裂」という先天性異常を持って生まれてくることとなります。
知っているようで知らない人中穴と人間の発生の不思議な関係でした。